2016-10-9 記事
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「なーにやっての?」

「・・・は?」

「ご、ごめんなさい間違えました」

仕事中部下だった子が
油売ってると思って冷やかしてやれと
思ったら部下と同じ鞄持った別人。
イケナイ子だなぁなんて
ニュアンス込めて頭を軽くポン。
人生で初めてゴミを見るような目で
見られた相手は未来の妻。

それからしばらく。取引先に挨拶へ。

「〇〇専務はおられますか?」

「〇〇は只今空けておりまして
よろしければこちらにお名前を・・・」

記入中チラチラ不審者目線で眺められる。

(一体何なんだ・・・・・・はてどこかで?
・・・はっ!?・・・・・・orz)

素早く記入を終えて退散。

あ、焦って伝言欄に要件書き忘れ―――こそっと
様子を窺うと隣の受付嬢と怪訝な表情でひそひそ・・・
(やめとこ(泣))

「どうぞ。浮かない顔してますね」

自分にとって彼女は大変扱いづらいタイプの部下だった。
一度も好きと言った覚えのない
キャラメルマキアートを
毎回差し入れしてくれる気立ての良い子だ。

出来れば次はブラックと伝えても
一切変わらないところが◎

営業では打たれ強さが求められるが
彼女のそれは尋常ではない。

「ありがとう。そんな変な顔してたか」

「変ですね。変な顔です。
(ザクッザク←心に刃物が刺さる音)」

「新規の担当決まったとこが
原因だったりしてw何処でしたっけ」

「○○社だよ(なんでそういうとこは鋭いんだ?)」

「えっ・・・」

「なんだよえっ、て。怖いわw」

「課長もしかしてそこのウケ嬢ナンパしました?」
(やや君のせいでもあるわ畜生!)

「ぶほっ・・・何、まさか先方で噂になってんの?
(ひょええええっやべぇぇ)」

「まぁそんな感じですね」

「課長だったんですか~あっちのウケ嬢から
ウチの社の人間ってだけ聞いてたからびっくりしました」

「ウケ嬢ってwキャバ嬢じゃないんだから。ハハッ」

「ナンパしたんですか?(話逸らさせませんよ的空気)」

「はぁ・・・実は」

結局これこれしかじかと説明。

「こじれちゃってますね。誤解だって言えばいいのに」

「言い訳してるとしか思われないだろ。
ま、全部俺の業自得だからそこは耐えるしかない」

「・・・私○○社に知り合いが居るので
誤解だったって伝えときますよ」

「え、あ、あぁ。助かるよ」

それからはピリピリした空気は無くなり
温和に接してくれるように。

三ヶ月ほどで諸々の手続きを終え無事商談成立。
部下には大きな借りができたので
休日前の夜に行きたいと言っていた
料亭で飯を奢ることになった。

偶然身内が来ていてご一緒してもいいですか
との問いに何人でも連れてこいと
大きな口を叩いて何人来ちゃうのかなぁと怯えつつ。
連れてこられたのはあの受付嬢だった。

「その節は本当に失礼しました。
お人柄を知りもせず間違いを責め立てるような
真似をしたこと深く恥じております」

深々と頭を下げ折り目正しく陳謝された。

「気にしていませんのでどうか頭を上げて」

「それに、普段も傍若無人な姉が
迷惑をお掛けしていますし」

「姉でーす」

「おおおまえお嬢さんの姉だったのか!?」

「身内って言ったじゃないですか」

言われてみれば似ている気も。
傍若無人と言い切る所も信憑性大だ。

「ここでてってれーとドッキリ札を掲げ」

「お姉、やめて」

「はいはいごめんなさい」

この時初めて部下が素直に言うことを
聞く場面を見た気がした。
これは確かに俺じゃ無理。

「あの日は姉の鞄を借りてたんです。
ですから課長さんの全くの勘違いと
いうわけでもないんですよ」

「いやー直ぐ言わずにいて正解でしたね」

「お前な・・・でも助かったよ。そこは感謝してる。
仕事にも今回の要素は大きかったしさ」

「課長仕事以外のプレッシャーに弱いですもんね」
(グサッ)

それから半年ほどで色々あった。

一番の出来事は部下(営業一温厚で人の良い青年)が
とある取引先と揉め、
怒りの電話を受け即時謝罪に行ったこと。

下げた頭に浴びせかけられる人間のクズだとか
生きる価値ないなとか虫湧いてるクサイなどと
現状には全く関係の無いあまりな言い分。

ついつい堪えきれなくなりそうだった時
一緒に来ていた部下(姉)が一言。

「課長が頭下げる価値ありませんよ。
こいつら程度が知れるスポンジ脳です。
あ、役立つスポンジに失礼か」

何かが砕けた音がして俺の体感時間が
止まった瞬間だった。
結果あわや乱闘かの騒ぎまで発展した。

帰り際部下二人には泣きながら謝られたが
俺は責任をとって最悪退社だろうとまで考えていた。

「なぜ私を呼ばなかった(怒)」

「申し訳ありません(終わった)」

「君は殴り合いに参加したのかね」

「殴り合いには至りませんでした。
しかしなっていたのなら参加していたと思います
(最後くらい言いたいことを言ってしまおう)」

「当然だ!私だったら先制ラリアットからの
パンピングボンバー追加でコケシかますっ!」
(そっちかーーーいっ!)

ドロップキックやフランケンシュタイナーetc…

社長、トップロープは現場にありません。
ひとしきり知っている技をリアルな振り付きで披露し、
いい汗をかいた社長満足そうに笑う。

「良くやった!どう考えても先方に非がある。
そんなとこはどうでも良いから次こっちと
ナシつけてくれ。このおばちゃんもマジ大変だが頑張れ」

結局社長あっさり。
妙な部分が長くなってすまん。
本題はこのおばちゃんだ。
とある企業生え抜きの女社長。

花が大好きで献上品がアウトだと
商談に如実に影響を及ぼすツワモノ。

「花・・・知らないな。どうしよ」

「妹が詳しいですよ。園芸部でしたし」

の情報。

ここで献上品の選定において受付嬢に白羽の矢が立った。

知らない番号から電話。受付嬢だった。
姉から番号を聞いたとか。

それからは休日に何度か花屋を巡る。
待ち合わせをして話しを聞きながら
女社長に送るべき花を選ぶ。

事前にあった他企業から得た情報はどれもよくない。
ある人物はメーカー推しの企業向け
アレンジ花を金を掛けて持って行ったが
すげなくあしらわれた。

会社に花を贈りたいのならわざわざ私に送らずともよいと。
そんな逸話ばかりだったので花選びが
迷走するには十分だった。

デートっぽいものだとはなんとなく意識したが、
歳上のおじさんに興味も何もあったもんじゃないだろうと
割り切っていた。

「姉はいつもあなたの話をするんですよ」

まずいと思った。

その頃には既に部下の好意にも気付いていた。
アピールのようなものを都合良く煙に
撒いたのは一度や二度じゃない。

下らないきれい事を言えば俺も会社も誰もが
彼女の才能を高く買っていた。
天性の才能だと言ってもいい。
それが俺なんかにかまけて台無しになるのは
我慢がならんと勝手だが決めていた。
要は身勝手な都合で一人の女性を蔑ろにしていたから
それを妹に指摘されそうになると思って恐怖していた。

けれど、次に彼女から出た言葉は予想外のものだった...

 

この後のお話は「続きを読む」からご覧ください。

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